手のひらのお星様・後編


その日の夜です。
トコちゃんは、今日あったことを、そして一番にすごい易者さんのことを、もう夢中でパパに話しました。ママも隣で聞いています。
「易者さんってすごいんだよ」
「トコも見て貰ったのかい?」
「ううん」トコちゃんは首を振り、少しがっかりしたような顔をしました。
「よーし、じゃあパパが見て差し上げましょう」
「えーほんと〜。パパも易者さんなの?」
「ははは。そうじゃ無いけど手相なら少しは見れるよ」
「手相って?」
「手のひらを見せるの。手のひらにはね、その人の人生が書いてるんだって」
ママが二人の会話に加わりそう答えると、トコちゃんはすぐに自分の手のひらを見ました。
「人生って言ったってわかんないよな」
とパパが言うと、
「わかるよ、未来だもん」
トコちゃんはすかさずそう答えました。
「ははははは。そうだな。トコの人生は未来だらけだな。ははははは」
パパは笑い出しました。ママもつられて笑い出しました。
トコちゃんは、じっと手のひらを見ています。
「さあ、手のひらを見せて」
急にパパの真面目な声がするので、トコちゃんはパパの顔をゆっくり見上げて、そしてゆっくり手のひらを前へ出しました。
パパが、トコちゃんの小さな手のひらをじっと見つめ始めました。
ママも、パパの隣に座り直して、トコちゃんの手のひらを見つめ始めました。
トコちゃんは、ちょっと心配になってきました。
「トコは長生きするよ」
「どうして?」
トコちゃんはすぐにそう言いました。
「いいかい。ここにシワがあるだろう。これが、生命線って言うんだ。これが、長い人は長生きするんだよ。トコのは長いだろう」
パパは自分の手のひらを見せて、トコちゃんに説明します。そしてトコちゃんのも、指でなぞって教えてくれます。ちょっとくすぐったいけど、トコちゃんはちゃんとパパの言うことを聞いていました。
「このシワが頭脳線って言って、頭がいいか悪いかわかっちゃうんだ。ここんところにね、年頃になると結婚線って言って、。。。。」
パパの講釈はもう少し続きました。
トコちゃんは、少しわからないところもありましたが、とっても面白くパパの話を聞いていました。
「パパもすごい!」心の中でそう思った時、
「それからねトコちゃん。手のひらにもお星さまがあるんだよ」
とママが言いました。
「え、どこ?」
トコちゃんはすぐに自分の手のひらを見せました。
でも、見当たりません。
「ずっとあるってわけじゃ無いのよ。ほんの少しの間だけ、手のひらにお星さまが出ることがあるんだって。そしてね、そのお星さまが出ている時にお願い事をすると、何でも叶うんだって」
「へえ〜。流れ星みたいだね」
「そうだね。トコちゃんの手のひらにも流れるといいね」
「うん」
トコちゃんは、口を大きく開けて、声にならない声を飲み込むと、嬉しそうに笑いました。
「早く来い来い流れ星〜、トコちゃんの手のひら〜」心の中で、トコちゃんはそう歌っていました。





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